目を閉じて象をなでる

雑談ではギリギリ出てこないような思いつきとか、考えなどを。全体としては人生を祝福する方向性でまとめていきます

コロナその後、最近読んだ本

◆今日をもってコロナは完治した。ありがとう、ありがとう・・・! 快気祝いに肉を食い、ほったらかしになっていた身辺整理や掃除をする。何より驚くのは、

 

ここ10日というもの酒をまったく飲んでいない

 なんということだろう。聞くところによると、断酒というのは最初の1週間がとにかくキツいらしい。で、それ以降は飲酒欲求もなくなってくるのだとか。自分の場合はちょうど1週間コロナだったことで、そのキツい期間にアルコールを意識する暇もなかったため、気がついたら断酒の峠をこえていたということか。事実、健康体に戻った今もまったく飲みたくならない。やったぜ。やはり30代半ばというもの、倒れるからには砂を掴んで立ち上がりたい。

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◆『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』小野寺拓也ほか

 古典的な議論のテーマをしっかりと引っ掛けるタイトルがいい。歴史的事実をめぐる問題の整理の仕方の最初に<事実><解釈><意見>という3層を取り上げて、軽視されがちな<解釈>がいかに大切かを示してから、諸問題を整理していく構造もわかりやすい。

 

◆『目的への抵抗』國分功一郎

 コネクトレスだけではジャスティスに達することはできない、というテーマがここにも。学生から「これはおかしい」と一生懸命がんばって訴えてもけっきょく変わらなくね? という(意味にもとれる)質問に対する、ガンジーを引用しての回答に感動。「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、 世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」。

 

◆『あなたはブンちゃんの恋』宮崎夏次系

 実はいわゆるサブカル漫画に対してわりと冷ややかな方なのだが、一読して衝撃を受ける。切実である以上にAC部的な表現でゲラゲラ笑ってしまって、こりゃすげーやと思った。舐めててすいません。

 

◆『海獣学者、クジラを解剖する』田島木綿子

 専門性、対象への愛、伝えたいという思い、社会的な意義、ちょっぴりのユーモアとぎっしり詰め込まれた海獣の知識。栄養満点の本だった。

 

◆『苦役列車西村賢太

 初めて読んだ。むかし読書家の友人がめちゃくちゃ笑いながら読んだと言っていたが、とくに笑いはしなかった。社会性の低い主人公のお仕事小説・・・のようでジャンル的に切って読むと取りこぼすものが多い気がする、主人公のバカなんだけどプライドが高くてちょっと知的欲求がある感じがなんともむずむずしてよかった。むずむずするために小説を読んでいるところがある・・・

 

◆『経済人類学入門』鈴木康治

 歯応えはあるがめっぽう面白い・・・止まっているので、思い出したらまた再読します。

 

◆『憂い顔の童子大江健三郎

 そうだ読み終わったんだ。晩年の大江は自作について自作の登場人物が詰めまくってくる、という独特すぎる構成なのだが、付箋が貼ってあるのでそこを開いてみると、やはり登場人物の1人に「あなたは、自分の書いてきたことを、本気で信じているか?」と真正面から問われて答えるシーンであった。君の目で確かめてくれ!